この記事の概要
空き家の売却では、解体・改修の補助金(自治体)と、譲渡所得の最高3,000万円特別控除(国)を組み合わせられるかで手取りが大きく変わります。3,000万円控除は2027年12月31日までの譲渡が対象で、旧耐震(昭和56年5月31日以前築)の相続空き家が主な対象です。売る前に確認すべき制度と注意点を整理します。
この記事でわかること
- 売却パターン別(そのまま/解体して/直して)に使える制度
- 3,000万円特別控除の要件と2024年からの変更点
- 補助金と税特例の「順番」を間違えると損する理由
空き家の売却は「いくらで売れるか」だけでなく「いくら残るか」で考える必要があります。解体費・譲渡税・補助金を全部並べてから売り方を決めるのが正しい順番です。
この記事の監修者: 宮﨑 一旗 宅地建物取引士 / 株式会社ライフワンネクスト取締役
宅地建物取引士(登録番号:(神奈川)第129630号)。補助金SEOメディアの運営、AIスタートアップの共同創業を経て、住まい・不動産領域のマーケティング支援と記事監修を行う。プロフィールを見る
売却パターン別 — 使える制度の早見表
| 売り方 | 使える可能性のある制度 | ポイント |
|---|---|---|
| そのまま売る(現況) | 3,000万円特別控除(2024年以降は譲渡後に買主が耐震改修・解体する形でも適用可) | 手間は最小。古家つきは価格が伸びにくい |
| 解体して更地で売る | 自治体の解体補助+3,000万円特別控除 | 買い手がつきやすい。解体費と固定資産税増(更地化)に注意 |
| 改修して売る・貸す | 自治体の改修補助、省エネ改修なら国の住宅省エネ2026キャンペーン | 賃貸転用なら売却と収益化の比較を。改修費の回収可能性を先に試算 |
3,000万円特別控除(空き家特例)の要件
相続または遺贈で取得した被相続人の居住用家屋(またはその敷地)を売ったとき、要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を控除できます(出典: 国税庁タックスアンサー No.3306)。主な要件は次のとおりです。
- 対象期間: 2027年(令和9年)12月31日までの譲渡(出典: 国土交通省)
- 建物: 昭和56年5月31日以前に建築された家屋(旧耐震)で、相続開始直前まで被相続人が居住し、区分所有建物でないこと
- 状態: 相続から譲渡まで事業・貸付・居住に使っていないこと
- 耐震または解体: 耐震基準を満たして売るか、解体して売るのが原則。2024年以降の譲渡では、譲渡の翌年2月15日までに買主側で耐震改修・解体する場合も適用対象(出典: 国土交通省)
- 控除額の注意: 相続人が3人以上の場合は1人あたり最高2,000万円(出典: 国税庁)
- 手続き: 市区町村が交付する「被相続人居住用家屋等確認書」が必要。確定申告で適用
順番を間違えると損する3つの注意点
- 解体補助は「契約・着工前」の申請が原則。 売却を急いで先に解体契約を結ぶと、補助の対象外になります。自治体への事前相談→交付決定→解体契約の順を守ってください。
- 更地化で固定資産税が上がる。 住宅を解体すると住宅用地特例(最大6分の1)が外れ、翌年度から土地の固定資産税が増えます。解体時期は売却スケジュールとセットで決めるのが得策です。
- 「貸してから売る」と特例が使えない。 3,000万円控除は相続から譲渡まで貸付等に使っていないことが要件です。一時的にでも貸すと適用できなくなるため、収益化と売却の方針は最初に決めてください。
よくある質問
Q. 自分が住んでいた家の売却でも使えますか?
その場合は別の制度(居住用財産の3,000万円特別控除)が対象になります。本記事の空き家特例は「相続した、被相続人が住んでいた家」向けの制度です。どちらに該当するかで要件が大きく違うため、税務署や税理士に確認してください。
Q. 解体補助と3,000万円控除は併用できますか?
制度上は別物なので併用可能です。ただし補助金で受け取った額の扱いなど申告に関わる論点があるため、確定申告時に税務署・税理士へ確認することをおすすめします。
Q. 期限(2027年末)を過ぎたらどうなりますか?
現行制度の適用期限は2027年12月31日の譲渡分までです。延長の有無は税制改正次第のため、旧耐震の相続空き家を売る予定があるなら、期限内の譲渡を前提にスケジュールを組むのが安全です。
まとめ
空き家売却の手取りは「自治体の補助金」「3,000万円控除」「解体・改修のタイミング」の3つの掛け算で決まります。先に解体契約・賃貸転用をしてしまうと取り返しがつかないため、売り方を決める前に自治体窓口と税務の確認を済ませてください。空き家の制度全体は空き家補助金の基本でも解説しています。
出典・一次情報
最終更新: 2026年6月12日。税制は改正されることがあります。適用可否の最終判断は税務署・税理士にご確認ください。